日本独自の文化「味付ジンギスカン」。こちら、日本中に数百種類存在し、北海道などでは各町にその町のジンギスカンがあるほど普及している商品なのですが、主に北海道はじめ日本の一部の地域でのみ食べられているので、これを多くの人に知らせたい!という思いから開催したのが「味付ジンギスカングランプリ」となります。
今回は、こちらのグランプリの募集・審査・発表を通し、感じた事や思ったことを審査員の一人としてまとめてみました。業界外の素人ですが、外部からの体験として是非、業界の方に読んで頂きたく思います。
●未来を見つつも、昭和の味が多い味付ジンギスカン。
味付ジンギスカンは、戦時中軍服利用されていた羊毛用羊が、戦後不要になり、食用として活用するために味をつけて、羊肉を美味しく食べる工夫として開発された経緯があります。そして、開発された時期は昭和中期で、日本ではまだまだ肉が貴重な時期。肉を味わうというよりは味を濃くし、ご飯をワシワシ食べるためのおかずとしての役割を期待されていました。
私も、味付ジンギスカンで白いご飯をワシワシ食べるのが大好きで、これはこれで、北海道などの大切な文化であると考えています。私も子供のころよく食べておりました。
開発された時から時間は経ち、このレシピだけでは、今後広く愛される味にはならないのでは?と感じました。そこで、思ったことをまとめさせていただきました。
いろいろな事情があったり、必要性がありそうしている事などあるでしょうが、あくまで、菊池個人の感想として気になった点をまとめまています。
1. しょうゆ味に頼りすぎている。
醤油味、おいしくて好きなのですが、すべてのベースが醤油となっているので、せっかく開発された味の違うジンギスカンも、全て醤油に負けてしまっている場合が結構あり、味が平面的に感じる場合がありました。他の素材の味を生かすためにも醤油の使い方の工夫がポイントかなと。
2. 甘さに頼りすぎている。
ぎょっとするぐらい甘い味もありました。甘じょっぱい味は日本人が好きな味ですが、これは、昔の日本人が好きな味でして、これからこの味を好きになり、食べ始める人は少ないと感じます。つまり、この味に固執すると、顧客はどんどん少なくなってくるのではないかと感じるのです。「甘くてしょっぱい」味は今は主流の味ではないので。
3. 調味料をシンプルにできないか??
羊肉高騰の今、この価格で味付ジンギスカンを提供している各企業の努力には頭が下がりますし、加工の関係や、取引先の関係で、色々な味を添加する必要があるのでしょうが、こんなに入れる必要があるのか??と思われるものもありました。私はジンギスカン以外でも多くの加工品に触れていますが、足し算でどんどん内容物を増やしてしまうきらいがあり、引き算する勇気が必要なのでは?と感じています。
●そして、伝統を守りつつ、未来へ向けた食肉加工品としての「新・味付ジンギスカン」へ
前の項目では色々と書きましたが、今回のグランプリを通し全体として「味付ジンギスカンは面白い」と改めて感じました。
・完全下味が付いている商品なので家庭で気軽に羊肉が食べられる。
・羊肉自体が低カロリー高たんぱくであり、今後のライフスタイルにあっている要素が多い。
・調理が簡単で、色々な料理に応用可能である。
・大量加工・冷凍保管なので価格をある程度抑えられる。
・多くは冷凍なので賞味期限が長くフードロスを避けられる。
と、良い所を上げたらきりがありません。まさに、各家庭の冷凍庫や冷蔵庫に常備されるべき、お肉の一つです。
特に、羊肉のヘルシーさや栄養価などは健康に気を付ける人や、トレーニングをする人の間で常識となっており、味と共に、健康面で羊肉をチョイスする人がどんどんと増えています。
そこで出てくるのが「新しい味」だと思います。
甘じょっぱい味は新しい層には響きません。そこで、各社伝統の醤油味を維持しつつも、新しい味の開発などを通し、味付ジンギスカンの魅力をもっと広げてほしいと思った次第です。
ナンプラー、オイスターソースなど海外の調味料ベースでもいいと思いますし、スパイスジンギスカンなども全然ありですよね?ハーブが豊富なハーブジンギスカンなども!ワクワクしてきませんか??
この新しい味は、必ず今の商圏以外の人に響くはずですし、味付ジンギスカンの新しい流れとして、多くの方が参加すれば認知も高まると考えています。
味付ジンギスカン。まだまだ面白くなるはず!
消費者としての意見ですが、参考になるのではないかと思いまとめてみました。改めて、参加していただいた関係社の皆さんに感謝を。
この記事を書いた人
ラムバサダー 菊池 一弘
羊肉の消費者団体、羊齧協会創業者にして主席(代表)。
羊肉料理を素人がおいしく楽しく食べられる環境作りを行うべく、多種多様な羊肉普及のためのイベントを行う。
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