【羊の雑学】18世紀の中国のレシピ本「隋園食単」にある羊肉料理とは?

中国に1716年生まれの袁牧(えんばい)という詩人であり美食家である方がおりまして、この袁牧さんがまとめた料理人の心得、食材、レシピについてまとめた本が「隋園食単(ずいえんしょくたん)」です。フランスのサヴァランの著作『美味礼讃(びみらいさん)』と肩を並べる名著とも言われてます。

今回は「隋園食単」に書かれているラム肉のレシピをご紹介しますので、過去のレシピに思いを馳せてみてください。今でも十分再現可能な物が多いですよ。

■羊羹(ひつじのあつもの)

文字を見て日本人なら「和菓子!」と思われるかもしれませんが、スープ料理です。和菓子の羊羹と「ひつじのあつもの」については長い話になるのでここでは割愛します。

レシピ

一度茹でた羊肉をサイコロ大にカットし、鶏のスープで煮る。そのとき一緒にたけのこ、シイタケ、山芋の細切りを加えて煮る。

昔のレシピなので細かい分量はないですが、味の想像がつきやすいし、再現もしやすそうなメニューです。素材の味を生かしたシンプルさに驚かされます。

▲こちらは具材は違えども今の羊のスープ。ちゃんと羊肉サイコロ大です。


■焼羊肉(羊の焼き物)

そのものずばりでレシピも単純。

レシピ

羊肉の重さ、5~7斤のものを肉刺にさして火にかざして焼く。味は甘くて柔らかい。

袁牧さんは文人ですので、レシピの中に故事が含まれたりします。この料理には「宋の仁宗が夜に羊の焼肉を考えたのもうなずけると」と味をほめています。どんな意味かというと、宋の仁宗(じんそう)が夜に羊の焼き物を食べたいと思ったが、将来これが前例となり贅沢に傾きよくないと思い我慢した事を言っているそう。夜我慢したことが美談になるほど羊肉はごちそうだったんですね。レシピは歴史でもある!と思わされます。

▲似た写真ですがこれは羊の丸焼きです。シンプルな料理なのでそんなに違いはないはず。


■炒羊肉絲

羊肉の細切り炒め。

レシピ

細切りにした羊肉を清醤(うすみそ)と酒にしばらくつけておく。油を煮立たせ白煙が青くなった時に肉を入れてむらなく炒める。手を止めず、蒸粉、酢1滴、砂糖一つまみ、葱の白い部分、ニラ、ニンニクを加える。羊は半斤使う。

これは、今でも十分美味しそう。レシピを見て思ったのですが、昔の中華は炒め物があまりない!これは意外でした。

▲細切り炒めという事でチンジャオロースと同じイメージ。

今日は、オージー・ラムから少し離れて、中国古代の羊レシピの話になりましたが、やはり、お隣中国でも、羊は昔より愛されていたんですね。

レシピを読んでみなさんも羊肉のレシピが気になりだしたはず!羊肉レシピの歴史に思いを馳せたら、是非ラムバサダーおすすめの下記のレシピもお試しを!

http://aussielamb.jp/lambassador/recipe.html

※参照「岩波文庫・「隋園食単」青木正児訳」

この記事を書いた人

ラムバサダー 菊池 一弘

羊肉の消費者団体、羊齧協会創業者にして主席(代表)。
羊肉料理を素人がおいしく楽しく食べられる環境作りを行うべく、多種多様な羊肉普及のためのイベントを行う。
詳しいプロフィールはこちらから。

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