羊のイメージや姿形は皆さんお持ちかと思いますが、羊がどのような動物か?? という事を知ってる方は意外と少ない気がします。今回は、その部分を消費者の皆さんに簡単にまとめられたら!と思います。
■羊はどこから来たのか??
羊はもともと日本にはいない生き物。ムフロンという品種が原種と言われ、コルシカ島やイラン、小アジアなどの山岳地帯に生息していた生き物が紀元前7000年頃古代メソポタミア付近で家畜化されたといわれています。今でいうシリアやレバノンあたりですね。この家畜化された羊が世界中に広まりました。
その後、多くの品種に改良されたり、地域で独特の進化を遂げたりした羊は、1000種類あまりの品種が世界中にいるといわれています。日本には推古天皇の時代に、朝鮮半島から貢物として献上されたという記録が、日本で一番古い記録となります。
■羊の繁殖について
山岳地方の生き物だったため、餌が豊富な春に子育てができるように、春に子供が生まれるような季節繁殖をおこなう家畜です。妊娠期間は5ヶ月。交配可能期間はオスが生後半年ぐらいから、メスは生後8ヶ月ぐらいからで、8〜9歳まで交配が可能です。
オーストラリアの牧場では、オスに1頭に対しメス40頭で群れを作っています。この群れはオスがリーダーかと思いきや、オスはリーダーではなく、特に繁殖以外はリーダーっぽいことをしないようです(笑)。群れの動きは、なんとなく隣の動きを見ながら個々が判断しているそうで、空気を読むのを大事にする日本人的!?な家畜です。また、繁殖期のオスは気性が荒く、一つの群れに2頭以上いると大喧嘩を繰り広げるので、各群れにはオスは1頭で飼育することがほとんどとのこと。
基本的に1頭ずつ生まれるので、生産性が良い家畜ではありません。たまに、2匹、3匹が生まれることがあるのですが、羊には乳首が2つしかなく、3匹生まれた場合、1匹は人工飼育になる場合もあるとのこと。ちなみに、豚は一回に10頭生まれます。
■羊は小さい?大きい?
サイズですが、羊には個体差があるし、種類により大きさが違うのですが、大きなオスだと100kgを超える場合もあるとか。オーストラリアの場合、通常ラムとしての出荷時点(6~10ヶ月)で20~24kgとなります。これは枝肉(頭・内臓・尾などを取り去った肉)なので、本来は40~50kg前後あると思われます。
他の畜種の出荷時の重量の参考ですが牛は400kg前後。豚は70kg前後と羊の小柄さが目立ちますが、この小ささが取り回しの良さなどにつながっており、世界第三位の取り扱いを誇る家畜となっているのです。
と、ざっくりとしたところをまとめてみましたが、いかがだったでしょうか?? 羊は、犬と同じぐらい古い家畜と言われており、人類の歴史とは切っても切れない関係です。次回、羊を見る機会がありましたら、このあたりを参考に見ていただくと面白いかもしれません。
この記事を書いた人
ラムバサダー 菊池 一弘
羊肉の消費者団体、羊齧協会創業者にして主席(代表)。
羊肉料理を素人がおいしく楽しく食べられる環境作りを行うべく、多種多様な羊肉普及のためのイベントを行う。
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