▲ラム肉とパクチーは今でもベストの組み合わせの一つ。
以前、書きました世界最古の羊のレシピとは??でも、羊のシチューにパクチーが入っていました。紀元前から続くこの関係は、今でも多くの国で引き継がれ、「羊肉といえばパクチー」ということは日本以外のユーラシア大陸で羊をよく食べる地域では常識となっています。
それを、かなり以前より日本に普及させようとしていたのが作家の檀一雄です。
だれ?と思う方も多いかもしれませんが、太宰治の盟友であり、檀ふみのお父さんで、料理家としても多くの本を出している方です。彼は、中国や満州を放浪し、中央アジアやロシアヨーロッパなど多くの国に訪れたり住んだりしている中で、「羊にはパクチーだ」との強い信念を持っていたらしく、彼の料理本や小説などには、度々この話が出てきます。
以前、神田にある有名な羊のしゃぶしゃぶの店で案内された個室に檀一雄の書があり、主人にこの「檀一雄とパクチー」の話をした所、そのお店と檀一雄との話を聞くことが出来ました。なんでも、彼から予約が入った場合、主人はバイクで中華街にパクチーを買いに行ったそうです。「パクチーがないと先生の機嫌が悪いから」という理由で、早起きしてバイクを走らせた思い出話をしてくれました。
また、著書の『美味放浪記』にも、北海道編に長々と羊肉とパクチーについて書いており、
つまり、シルクロードの発端から、末端まで、羊を食べるときには、このペトルーシカ(パクチー)を必ず薬味にして添えるのであって、この香菜(パクチー)ほど羊肉の味わいを助ける香料はない。
また日本にも、ジンギスカン鍋だとか、「義経焼」だとか、羊の肉を食べることは、かなり普及したけれども、肝心の香菜(パクチー)を薬味にすることを忘れている。いや、知らないようだ。
と、一部引用させていただきましたが、このようなことを2ページに渡り記述しておりますので、気になる方は『美味放浪記』をご覧頂ければと思います。
こういう事を昭和40年。今から55年も前に言ってた方がいるとは驚きです。今は、段々と羊肉を食べるときにパクチーを添えれる店も増えてきてまして、徐々に檀一雄が話していた状況に近づきつつあります。
パクチーブームで、何でもパクチーを山乗りにのせる!ブームらしい騒ぎも落ち着いた今。改めて、本筋に帰り羊肉とパクチーについて考えてみるのもありだと思います。
この記事を書いた人
ラムバサダー 菊池 一弘
羊肉の消費者団体、羊齧協会創業者にして主席(代表)。
羊肉料理を素人がおいしく楽しく食べられる環境作りを行うべく、多種多様な羊肉普及のためのイベントを行う。
詳しいプロフィールはこちらから。